メトホルミン(メトグルコ)は2型糖尿病治療の第一選択薬として世界的に広く用いられています。メトホルミンは肝臓での糖の産生を抑え、肝臓や筋肉への糖の取り込みを増加させることにより血糖値を低下させる優れた糖尿病治療薬です。それと同時に、がん細胞の増殖を抑制する酵素(AMPキナーゼ)の活性を高める作用を持つことも知られています。英国の研究では、メトホルミンを服用している2型糖尿病患者1万人を追跡した結果、新規のがん発生が抑制されたという結果が出ています。メトホルミンは単に糖尿病治療薬としてだけでなく、がん予防作用のある薬剤として期待が高まっています。
さて、去る4月21日から23日に開催された日本消化器病学会で、横浜市立大学の日暮琢磨氏らの研究グループがメトホルミンに関して注目すべき研究成果を発表しました。日暮氏らは大腸ポリープを内視鏡で切除されたことのある患者さん151人をメトホルミン250mg/日を服用する群と服用しない群の2つのグループに分けて1年間観察しました。この結果、1年後の新規の大腸ポリープ発生率はメトホルミンを服用した群で38%, 服用しなかった群で56%であり、メトホルミンを服用した群で明らかに低下していました。大腸ポリープは大腸癌に進展する可能性があるので、少量のメトホルミンの服用が大腸がんの予防につながる可能性が出てきたわけです。
2型糖尿病の患者さんでは糖尿病でない人に比べて大腸がんの発生率が高いことが知られているので、大腸がんの予防という意味でもメトホルミンは2型糖尿病の治療の第一選択薬にふさわしい薬といえるでしょう。
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