認知症

認知症とは?

脳は、私たちのあらゆる活動をコントロールしている司令塔です。脳がうまく働くなくなると、精神活動も身体活動もスムーズにできなくなります。
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなり、様々な障害が起こってきて生活に支障をきたしている状態です。認知症で最も多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」で、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症(ピック病)などがあります。続いて多いのが、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。

認知症を疑わせる症状

物の名前が出てこなくなった。
簡単な計算ができなくなってきた。
同じことを何度も行ったり聞いたりする。
時間や場所の間違いが多くなってきた。
慣れているところで道に迷った。
今までできていた仕事や作業ができなくなってきた。
水道やガス栓の締め忘れが目立つようになってきた。
以前に比べて怒りっぽくなったり疑い深くなった。
服装がだらしなくなった。
毎日の日課がこなせなくなった。
以前に比べて物事に対する興味・関心が薄れてきた。

このような症状のある方は認知症の可能性があります。
医療機関を受診し、診察や検査(認知機能検査、血液検査、頭部CTなど)を受けて下さい。

加齢による物忘れと認知症による物忘れの違い

一般的にはこのように言われていますが、実際には認知症の初期には物忘れを自覚し不安に思われる方も多いようです。

急速に増えつつある認知症老人

我国のの高齢者人口は2980万人、総人口に占める割合は23%です。10年後には3500万人、30%になるといわれています。このような急速な高齢化に伴って認知症の老人は急増しており、今後も右肩上がりで増加すると予想されています。
認知症の有病率は15%と推定され、現在の認知症の患者数は462万人であることが最近の調査で明らかにされました。
この数字は、下の表に示す1994年時点の厚生省の推定値を大幅に上回っています。

MCI(軽度認知機能障害)とは

MCI(軽度認知障害)とは加齢のみでは説明しにくい記憶障害があるものの、日常生活には支障をきたしていない状態のことです。認知症で最も頻度の高いアルツハイマー病では、発症する20年以上も前から、原因物質であるアミロイドベータペプチドが脳に徐々に蓄積しはじめます。この段階がMCI(軽度認知障害)に相当します。蓄積したアミロイドベータペプチドは脳の神経細胞に障害を与え、認知機能を担っている神経回路の働きを阻害します。人間の体には、このアミロイドベータペプチドが脳に蓄積しないように、脳脊髄液を介して血液中に排出させるシステムが備わっています。具体的には脂質代謝に関連するアポリポタンパク質や免疫に関連する補体タンパク質がこの役割を果たしています。
これらのタンパク質の血液中の濃度を調べることで、MCI(軽度認知障害)のリスクを判定することができます。

MCIスクリーニング検査(認知症健診)

認知症は早期発見・早期治療が重要で、認知症の予備軍であるMCI(軽度認知障害)の段階から対策を講ずる必要があります。
当院では、このMCIを早期に診断するための「認知症健診」をおすすめしています。
もの忘れが気になり始めた方、御両親の認知症が心配な方はお気軽にご相談ください!

基本コース 料金:3,000円+税(検査結果に関するカウンセリング料を含む)

2種類の認知機能検査(モントリオール認知評価検査・改訂長谷川式認知機能検査)によって、認知症になる前の軽度の認知機能低下も判定できます。

基本コース 料金:25,000円+税(検査結果に関するカウンセリング料を含む)

基本コースに加えて、血液中の認知症マーカー(前項参照)を測定することにより、さらに詳しい判定が可能になります。

オプション検査 アポリポ蛋白E(apoE)の遺伝子検査* 料金:13,000円+税

※ 高齢者の認知機能低下に関与するといわれている重要な遺伝子の一つがアポリポ蛋白E(apoE)の遺伝子です。この遺伝子にはε1~4の4種類があります。apoEはアミロイドベータペプチドに結合して、脳への蓄積を防ぐ作用を持っていますが、ε4の遺伝子型を持つ人では、apoEのこの作用が弱いために、認知症発症ののリスクが高まることがわかっています。この場合には、より早期から発症予防策を講ずる必要があります。

認知症の種類とそれぞれの特徴

アルツハイマー型認知症

脳の中に異常なたんぱく質(βアミロイド)が蓄積することによって、健康な神経細胞が破壊され、脳が次第に萎縮する病気です。まず、短期記憶をつかさどっている側頭葉の海馬の脳神経細胞が減少することから始まると言われています。
初期の段階では短期記憶の障害(最近起きたことを覚えていられない)が見られます。

レビー小体型認知症

記憶障害以外に、幻視、パーキンソン症状(体がこわばり、動作が遅くなり、転倒しやすくなる)が現われやすく、日によって頭が はっきりしていたりぼーっとしていたりと、症状の変動が大きいのが特徴です。
初期には認知機能低下が目立たず、、幻覚や妄想、抑うつといった精神症状が前面に出てくることもあります。パーキンソン症状が初発症状であることもあります。

前頭側頭葉変性症(ピック病)

盗癖や無銭飲食など、反社会的な行動を特徴とする認知症です。これらの異常行動により介護者は疲弊しますが、記憶は保たれるため認知症と診断されていない場合が多いのです。精神病と誤診されている場合もあります。過食や性的逸脱、尿・便失禁、放尿などもみられます。

脳血管性認知症

動脈硬化が原因で、脳梗塞などにより引き起こされる認知症です。脳の病変の場所によって、手足の麻痺、ろれつが回らない、など様々な身体症状が起こってきます。

その他

脳腫瘍、脳炎、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症なども認知症の原因となります。この中には手術や治療で治癒が望めるものも多いので、早期発見、早期治療をお勧めします。

気になる症状があればお気軽にご相談ください。その際、ご本人の普段の様子を良くご存じの方に同行していただいた方が診療がスムーズに進みます。

認知症の症状は?

脳の細胞が壊れることによって直接起こる症状が記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能の低下など中核症状と呼ばれるもので、周囲で起こっている現実を正しく認識できなくなります。本人がもともと持っている性格、環境、人間関係など様々な要因が絡み合って、うつ状態や妄想といった精神症状や、日常生活への適応を困難にする行動上の問題(BPSD)が起こってきます。これらを周辺症状と呼びます。

急に周辺症状が悪化した時は、まず、何か変わったことがなかったか?お薬の管理がうまくいっているか?生活習慣病や脱水、便秘、発熱、不眠等、体調が悪化していないか?などに注意をしてみましょう。

当院の認知症の治療方針・・・コウノメソッドの実践

認知症の治療で最大の問題は介護者の疲弊です。介護者が燃え尽きてしまっては、もはや介護や治療を続けることができなくなってしまうからです。従来から行われていた、中核症状のみを重視する治療法では介護者を楽にすることはできません。そこで、当院では名古屋フォレストクリニックの河野和彦先生が提唱されているコウノメソッドに従って治療を行っています。

認知症の症状の中で最も介護者を苦しめるのは周辺症状の内の陽性症状(不眠、易怒、暴力、過食、浪費、介護への抵抗など)です。当院では、グラマリール、ウィンタミンなどの比較的副作用の少ない少量の向精神薬や漢方薬(抑肝散など)を駆使してこうした陽性症状を抑え、介護者の負担を軽減することを最優先にしています。

陽性症状がコントロールできた後で、患者さん本人を苦しめている中核症状の治療にとりかかります。治療薬としてはアリセプト、レミニール、リバスタッチパッチ、メマリー、サアミオン、シンメトレルなどを患者さんの症状に応じてきめ細かく使い分けています。
またフェルガード(米ぬかから抽出されたフェルラ酸を主成分とする、強力な抗酸化作用を持つ)、プロルベインDR(ミミズ乾燥粉末を主成分とする、血栓溶解・予防作用、脳血流の改善作用がある)などを必要に応じて使用しています。

レビー小体型認知症や前頭側頭葉変性症による意識障害に対しては、脳卒中の治療に用いられるシチコリンの注射が有効です。認知症に伴う歩行障害に対しては、パーキンソン病の治療にも用いられている強力な抗酸化剤グルタチオンの大量点滴療法を行っています。劇的な効果が見られることも多く、患者さんのご家族に喜ばれています。このような治療により、介護者のストレスを最小限に抑えつつ、ご本人が人間としての尊厳を失わずに残された人生をおくれるようになるのです。

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