花粉症

花粉症とは

免疫反応は、微生物(寄生虫、細菌、ウィルスなど)や異物、がん細胞を排除し、生体を守るためのシステムで、本来は生命を維持するのに必要不可欠なものです。しかし、時に人体に不都合な免疫反応が起こる場合があり、これを「アレルギー」と呼びます。

花粉症とは「花粉が原因のアレルギーであり、目や鼻などの粘膜で、身体の免疫システムが花粉を細菌と同じように「身体に有害な異物」と判断して、これを排除しようとする反応なのです。
症状としては、目のかゆみ、涙目、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが続きます。最近は、皮膚の発疹、かゆみで悩む方も多いようです。

花粉症の原因

花粉症の7割はスギ花粉によるものです。植林政策によってスギ林が国土の12%を占めるわが国においては、人口の20%がスギ花粉症を発症しています。スギ以外にも、冬から春にかけてはハンノキ、春先にはヒノキ、ハシバミ、初夏にはイネ科、秋口にはキク科などの花粉が飛散するので、季節を問わず花粉症の症状がある方がいらっしゃいます。

一年を通して症状がある方は、花粉以外の生活環境に常に存在する抗原、すなわちハウスダスト、カビ、ダニ、ペットの毛や表皮などに対する通年性のアレルギーである可能性があります。

花粉症の治療

その1.抗原暴露を避ける

花粉症の薬を飲む前に、根本的な対策として、アレルギーの原因となる抗原とできるだけ接触しないようにすることが必要です。
その具体策を挙げておきます。

  • マスクやメガネを着用する。
  • 服や身体に付着した花粉を家の中にできるだけ持ち込まない。
  • 家の中に入ってしまった花粉を掃除や洗濯を念入りにすることでできるだけ取り除く。
  • 花粉を分解する機能のある空気清浄機、除菌消臭剤を用いる。
その2.抗アレルギー薬の内服・点眼・点鼻

花粉に対する抗体(IgE抗体)の働きによって作られる炎症性ケミカルメディエーター(炎症を起こす化学伝達物質)が、目や鼻の粘膜の細胞に到達する前に先回りしてブロックすることで、鼻水や目のかゆみなどの症状を鎮めるのが抗アレルギー薬です。鼻の乾き、眠気などの副作用がありますが、最近はこうした副作用を軽減した薬も開発されており、現在の花粉症治療の主流となっています。
しかし、これはあくまでも症状を抑えるための対症療法であり、根本的な原因であるIgE抗体が作られるプロセスを抑えることはできません。そのため、花粉症によって起こる生活の質(QOL)の低下を完全には防げないのが問題です。

その3.ビタミンD

花粉症は、花粉という異物に対する免疫反応の調節がうまくゆかず、一日中鼻水や鼻づまりが続いたりといった過剰な免疫反応が起こっている状態です。

このような免疫反応を調整して正常化する働きを持つのがビタミンDです。
ビタミンDは日光に含まれる紫外線に当たることによって皮膚で合成されます。しかし、1980年代以降、皮膚がんや皮膚のしわ、しみと紫外線の関連が指摘され、WHO(世界保健機関)や各国の皮膚科学会は日光に直接当たらないことを推奨してきました。この結果、世界的にビタミンD欠乏症の人が増加しており、その比率は国によって違いはあるものの、人口の30~80%と言われています。
花粉症が急増しているのも、こうした現実と無関係ではないでしょう。

花粉症でお悩みの方は、まず血液中のビタミンD濃度を測定されることをおすすめします。(ただし保険適応のある1,25(OH)2ビタミンDではなく、25(OH)ビタミンDを測定する必要があります。これには健康保険が適応されませんので自費医療となります。)
25(OH)ビタミンDの濃度が30ng/ml未満の方にはビタミンDをサプリメントとして摂取することをおすすめします。

ビタミンDを十分に摂取することにより、通常の抗アレルギー薬では改善しない鼻詰まりなどのつらい症状が軽減し、QOLの改善につながることが多いようです。また、ビタミンDには風邪やインフルエンザなどの感染症を予防する作用、大腸がん、すい臓がん、乳がん、卵巣がんなどのリスクを低下させる作用、アルツハイマー病のリスクを低下させる作用など、多彩な働きがあることが知られていますので、健康維持のためのサプリメントとしてもおすすめです。

その4.ビタミンA

鼻や目などの粘膜に抗原である花粉が侵入すると、まずIgA抗体が抗原の無毒化(中和)を図ります。花粉の侵入に対応するIgA抗体が十分に粘膜面にあれば、抗原である花粉がIgE抗体と結合する機会が減るため、炎症を引き起こすケミカルメディエーター(化学伝達物質)が分泌されにくくなります。

IgA抗体が粘膜で作られるのに必要なのがビタミンAです。ビタミンAは、レバーや魚油などの限られた食材からしか摂取できません。緑黄色野菜に多く含まれるβカロテンがビタミンAに変換されることが知られていますが、実際には変換されにくく、ビタミンA不足を防ぐためにはレバー・魚油などの食品やサプリメントからビタミンAそのものをしっかりと摂取する必要があります。

その5.EPA、α-リノレン酸などのオメガ3系脂肪酸の摂取

花粉症ではIgE抗体がアレルゲンと結合すると炎症性ケミカルメディエーター(化学伝達物質)が作られ、それが花粉症の様々な症状を引き起こします。このケミカルメディエーターの原料は必須脂肪酸という、ヒトが自分の体内では合成することができないため食物の成分として摂取しなければならない脂質なのです。
このケミカルメディエーターには、リノール酸のようにオメガ6系脂肪酸からできたものと、えごま油、亜麻仁油、魚油に含まれるオメガ3系脂肪酸からできたものがあります。オメガ3系脂肪酸由来のメディエーターが引き起こす炎症の方がオメガ6系脂肪酸由来のメディエーターが引き起こすものより炎症の程度が弱いことが確認されています。

現代人はオメガ6系脂肪酸を調理油などから過剰に摂取しており、オメガ3系脂肪酸が相対的に不足しています。このために花粉症などの炎症性疾患が急増しているのです。
したがって、オメガ3系脂肪酸を積極的に摂取すれば、オメガ6系脂肪酸は相対的に減少し、花粉症の炎症が軽減することが期待できます。

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