ピロリ菌除菌治療

ピロリ菌と胃癌

最近の研究で、胃癌の原因はピロリ菌であることが明らかになりました。(例外的にピロリ菌が原因でないと考えられる胃癌もありますが、全体の1%程度にすぎません。)
ピロリ菌は胃酸の中で生存できる唯一の菌です。人間が食物を摂取する際には、それとともに多くの細菌やウィルスが胃の中に入ってきますが、ピロリ菌以外の病原体は胃酸によりすべて死んでしまいます。ピロリ菌だけは、アルカリ性の粘液を放出し胃酸を中和する能力があるため、生き残って胃に感染します。ピロリ菌が持続感染を起こすと、慢性胃炎(萎縮性胃炎)が起こります。これは強い症状はないものの、何十年にもわたってゆっくりと進行する胃炎です。そして胃癌の大部分がピロリ菌陽性の慢性胃炎(萎縮性胃炎)から発生します。日本人の半数がピロリ菌陽性ですから、この人たちは慢性胃炎(萎縮性胃炎)を経て胃癌になる危険性が高いわけです。残りの半分の人々は胃癌にはならないといえます。

胃癌の早期発見

胃癌を早期に発見するためにはどうしたらよいでしょうか?
現在名古屋市で行われている胃癌検診は、受診者が胃のレントゲン検査あるいは胃カメラのいずれかを選択する方式です。

この方式には次のような問題点があります。

  • ①胃のレントゲン検査では、早期胃がんの中でも平坦な病変や微細な病変は発見できないことが多い。
  • ②通常行われている内視鏡の消毒法は不完全なものであり、内視鏡検査によってピロリ菌をはじめとする病原体が感染する可能性がある。

早期胃癌の見つけやすさという意味では、毎年胃カメラで検診を実施するのが良いと思いますが、上記2を考慮に入れると胃内視鏡検査の頻度は最小限に抑えたいところです。

そこで当院では、東京大学医学部の消化器グループが提唱する「ABC検診」を採用しています。これは(1)ピロリ菌検査、(2)ペプシノーゲン(慢性萎縮性胃炎の検査)を同時に行うものです。ピロリ菌検査は東京大学のオリジナルの方法では採血でピロリ菌に対する抗体を検査するだけですが、当院では健診の精度を上げるため検便で便中のピロリ菌抗原検査も行っています。ペプシノーゲン検査も数ccの血液を採取するだけの非常に簡便な検査法です。これらの検査の結果により、個々の胃癌のリスクを評価します。具体的には、リスクの大きさによって、下の表のようにその後の方針を決定します。このように胃癌リスクをあらかじめ評価することにより、胃内視鏡検査の頻度を必要最小限に抑えることができるのです。

ピロリ菌検査ペプシノーゲン検査その後の方針
陰性 陰性 胃癌になる確率は0に近いので、以後、胃の健診は不要。
陽性 陰性 胃内視鏡で胃癌がないことを確認後、ピロリ菌の除菌治療を行う。1年後、胃内視鏡で除菌できたかどうかを確認。除菌できた後も定期的な内視鏡検査(2~3年に1回程度)は必要。
陰性 陽性 ピロリ菌が持続的に感染していた結果、萎縮性胃炎が進行してピロリ菌が消えてしまった可能性が高い。胃癌のリスクは高いため年1回の胃内視鏡検査が必要。
陽性 陽性 胃内視鏡で胃癌がないことを確認後、ピロリ菌の除菌治療を行う。その後も年に1回の胃内視鏡検査が必要。
ABC検診(ピロリ菌検査+ペプシノーゲン検査)の費用 7,560円 (自費医療 税込)

ピロリ菌の除菌

3種類の飲み薬(胃酸を抑える薬と2種類の抗生物質)

アモキシリン+クラリスロマイシンを7日間内服する治療です。入院は必要ありません。初回の除菌治療の成功率は85%程度です。除菌が不成功に終わった場合には、違う処方で再度除菌を試みます。一旦除菌が成功すれば、再感染はの可能性はほとんどありません。副作用としては「下痢」が時々見られますが、これは整腸剤などを併用することによりコントロールできる場合が多いです。それ以外の重篤な副作用は稀です。
最近の臨床研究で、除菌による胃がんの抑制効果は慢性胃炎の程度が軽い人、すなわち若い人ほど大きいことが分かっています。ですから、胃癌を予防するためにはできるだけ早い時期に上記のABC検診(ピロリ菌検査+ペプシノーゲン検査)をうけ、ピロリ菌が陽性であれば除菌治療を受けることが重要です。特に若い方で、生活を共にする家族に慢性胃炎、潰瘍、胃癌の患者さんがいる方はABC健診が必須です。

除菌の費用 16,200円(自費医療 税込)

*内視鏡で慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫と診断された方、早期胃がんに対する内視鏡の治療を受けた方、特発性血小板減少性紫斑病と診断された方には健康保険が適用されます。

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