院長ブログ

2015.04.29更新

正常体重の人に比べて少し肥満気味の人の方が死亡危険度が低いという説(肥満の逆説 = obesity paradox)が最近注目を集めています。しかし、この説はあくまでも一般の人たちを対象とした統計に基づいたものであり、糖尿病患者における体重と死亡危険度との関連性は明らかにされていませんでした。昨年秋に、最も権威ある医学雑誌の一つである
New England Journal of Medicine にこの点を明らかにした論文が初めて掲載されました。

これはハーバード大学の研究グループが、糖尿病と診断された時点で脳卒中、虚血性心疾患や癌にかかっていなかった11,427人の糖尿病患者さんを対象に行った研究です。糖尿病と診断された時のBMIと平均追跡期間15.8年の間の死亡危険度との関係が検討されました。

研究期間内に対象者のうち3083名が死亡しました。対象者をBMIによってA~F群の6つのグループ(A:18.5-22.4,B:22.5-24.9,C:25.0-27.4,D:27.5-29.9,E:30.0-34.9,F:35.0以上)に分け、B群の死亡危険度を1.00とした時の各群の死亡危険度が算出されました。喫煙歴のない対象者の死亡危険度はA群:1.12, B群:1.00, C群:1.16, D群:1.21, E群:1.36, F群:1.56)、喫煙歴のある対象者の死亡危険度はA群:1.32, B群:1.00, C群:1.09, D群:1.04, E群:1.14, F群:1.21)となりました。死亡危険度は、喫煙歴の有無にかかわらずBMI22.5-24.9の群で最低であり、それより増えても減っても危険度が上昇することがわかりました。

この研究結果をまとめると、糖尿病の患者さんでは肥満気味の人の方が死亡危険度が低いという obesity paradox を支持するような傾向は確認できなかったということになります。

現状では、糖尿病治療の際の体重コントロールの目標はやはりBMI 22.5-24.9の範囲内に定めるのがよいでしょう。特に糖質制限食では体重が減りがちなので、BMIが低くなりすぎないような注意が必要です。

投稿者: 小早川医院


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