院長ブログ

2016.01.10更新

糖尿病で治療中の患者さんが低血糖発作を一度でも起こすと、6年以内に認知症を発症する危険性が2倍になるというデータがあります。これ以外にも、低血糖が認知症のリスクを高めるという論文が数多く発表されています。
当院の外来でも、低血糖が認知症の誘因になったと考えられる例が少なからずあります。こうした実例を、糖尿病で治療中の高齢者の方やそのご家族に知っていただく事は、認知症の予防という点で大切だと思います。。今日から3回に分けて、このような実例をご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

1例目は84歳の男性です。現役時代は大学教授をされていたインテリジェンスの高い方です。2008年10月に奥様が亡くなられたため、それまでの一軒家から一人住まいに適したマンションに引っ越されました。その際、前医から当院に紹介となりました。当院を初診された時のデータはHbA1c5.3%, 食後2時間の血糖値が142mg/dlと正常範囲に近いものでした。この時、2種類のSU薬をかなりの量服用しており、その他にも2種類の糖尿病薬を併用して服用していました。84歳の高齢者としてはコントロールが厳しすぎると判断して薬を大幅に減らすことを提案しましたが、それまで几帳面にHbA1cを低い値に保ってきたこの患者さんは、薬を減らすことにかなり不安があるようでした。そこで、まず一種類のお薬を中止して1か月後に来院していただく事にしました。ところが、この患者さんは来院予定日の直前に自宅で意識を失って倒れているところを発見され、救急搬送されてしまいました。診断は「重症低血糖」でした。
このエピソードから3年半後に、担当のケアマネージャーから「最近物忘れがひどくなり、薬の管理もできなくなった」と相談を受けました。精密検査の結果、アルツハイマー型認知症を発症していることがわかりました。

経過から見て、この方の低血糖発作と認知症発症の関係は明らかです。「初診の日に患者さんを強く説得して、1種類だけでなく2種類とも中止しておくべきだった」と悔いの残ったケースです。

投稿者: 小早川医院


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