院長ブログ

2016.01.11更新

昨日に続いて、糖尿病患者さんの低血糖と認知症の関係を示す実例をご紹介します。

2例目は85歳の男性です。元会社員で勤勉そうな印象の方です。2005年から2型糖尿病で某クリニックに通院して糖尿病の薬を飲んでいましたが、薬の種類が次第に増えていくのが気になり、薬を減らすことを希望されて2013年に同居の娘さんに付き添われて当院を受診されました。初診時、HbA1c5.6%, 食後2時間の血糖値112mg/dlで、糖尿病治療薬として3種類のお薬を服用していました。明らかな低血糖症状はないものの、「最近何となく元気がない」、「物忘れがひどくなってきた」と娘さんは訴えられました。認知機能検査では長谷川式は24/30点、ADASは12.4点と認知症といえる状態でした。

この年齢でSU薬とグリニドを併用してHbA1cが5.6というのはあまりにも危険すぎると考えました。おそらく、慢性的に低血糖を起こしているでしょう。そこで低血糖を起こす危険性の大きい2種類の薬を全面的に中止しました。するとHbA1cは7前後まで上昇し、一見糖尿病が悪化したように見えましたが、ご本人およびご家族には「元気が出てきたと」喜ばれました。客観的に見ても表情に活気が出てきたのです。1年後に再度認知機能検査をしてみたところ、長谷川式は24点から28点に、ADASは12.4点から8点に、ともに大幅に改善していました!もちろん、認知症の治療薬は全く使用していません。

慢性的な無症状の低血糖が、この患者さんの認知機能を一時的に低下させていた可能性が高いと考えています。今回は薬の中止により認知機能はかなり改善しましたが、長期間の低血糖のダメージは消えたわけではないので、今後も認知症の悪化に細心の注意を払って行く必要があります。

投稿者: 小早川医院


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