院長ブログ

2015.02.15更新

昨日、ウェスティン名古屋キャッスルホテルで認知症の研究会があり、レビー小体型認知症の発見者である小阪憲司先生の特別講演を拝聴する機会に恵まれました。

小阪先生は名古屋大学附属病院に勤務していた1970年代の前半に、担当していた認知症の患者さんにアルツハイマー型認知症とは少し違う症状が見られたのが気になり、その患者さんが亡くなられた後にご家族の同意を得て病理解剖をされました。そして、大脳皮質に多くの「レビー小体」があるのを発見されました。その後、日本の他の施設でも留学先のドイツでも同様の症例を多数経験され、学会や論文で繰り返し発表されましたが、なかなか認められませんでした。それでも辛抱強く研究を続け、最初の論文発表から20年を経て、1996年にやっと国際学会で「レビー小体型認知症」として認められ、その診断基準が制定されました。しかし、その後もレビー小体型認知症はなかなか認知されず、専門医でも誤診が多いのが実情であり、先生は全国での講演や介護者家族交流会などを通じて、この病気の啓蒙を続けておられるとのお話しでした。

ここまでお話をうかがって、小阪先生が真摯に患者さんと向き合って、長年の苦労の末に新しい疾患の概念を確立されたストーリーは非常に感動的だったのですが、話題が「レビー小体型認知症の治療」に及ぶと様相は一変しました。

小阪先生は、「レビー小体型認知症ではアルツハイマー型認知症以上に脳内のアセチルコリンが減少しているので、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が治療薬の第一選択であり、現状で保険適応があるのは一種類のみなので、まずはその薬を使いなさい、効果が不十分なら一日10mgの最高用量まで増やしなさい。」と述べられました。
当院では最近、レビー小体型認知症で当該薬剤を服用していてパーキンソン症状が悪化して歩けなくなり、それに対してパーキンソン病治療薬が処方され、その結果として今度は幻視・幻覚が増悪してしまい、家族が困って相談に来られるケースが増えています。こういう例は、まずそのお薬をやめることでほとんど改善するのを経験しているので、こうした副作用に全く言及されない小阪先生のお話には違和感を感じざるを得ませんでした。

小阪先生以外の演者たちも皆口をそろえて、「レビー小体型認知症にはまずそのお薬を使う」の一点張りです。閉会の挨拶に立った某大学の神経内科の教授に至っては、「レビー小体型認知症の認知度が一層高まり、その結果当該薬剤がより多く処方されるようになることを祈念している」というような内容で会を締めくくったのです。

この研究会を主催したのがそのお薬を販売しているE社なので、こうした内容は当然と言えるのかもしれませんが、レビー小体型認知症の患者さんを真剣に介護しているご家族が聴いたら、気分を害される方も多いのではないかと感じました。

何とも複雑な気持ちで会場を後にしました。

投稿者: 小早川医院


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